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戦争の痕【1】

2008.06.23 *Mon
 
 豆芝のぬいぐるみを抱えた少女がひとり。

 感情の薄い大きな瞳がじぃっと見上げる。

「だいじょぶ、ですか……?」

「うん、平気。応援ありがとね、志緒」

 大きな怪我はない、と、軽くファイティングポーズを取ってみせて

 けれど、少女は小さくなって、申し訳なさそうに頭を下げる。

「えと……志緒、あの、応援しか…できなくて……ごめんなさいです……」

 夜の闇を映した髪を、そっと撫でるのは白い手

 煤けているけれど、擦り傷はあるけれど、誰の目から見ても大きな怪我はない

「悪いことしてないんだから謝っちゃ駄目。…そういえば、泉美、怪我したんだって?」

「…腕、上がらないって……ゆってた、の、です………」

 影が差した瞳を隠すように伏せて

 唯一の──今では唯一ではないけれど、大切な人から流れた血。

 痛みを想い心を痛める少女に狼狽したエルの声は大きくなる。

「い、いい泉美が危険でもあたしの応援してくれたんだよねありがとう志緒っ!!」

「…泉美お兄ちゃんは、修学旅行……優斗さんと、遊ぶ、ですから…大丈夫…」

 ゆっくりと瞬きをふたつ

 吹っ切るように開かれた瞳には、やはり感情はほとんど覗いていなかった。

「それは大丈夫そうだね、確かに…」

 気のおけない友人とのひとときはきっと何よりの薬。

 大好きな従兄弟より自分を優先してくれた小さな友に改めて礼を告げ。

 ぺこりと頭を下げた少女を見送ると、怪我人の元へと足を向けた。

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