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準備

2008.08.26 *Tue
 

 荷物を纏めて、部屋を見回す

 衣装の詰まったダンボールがが三つ、四つ

 替えのヘッドランプや細々とした道具に工具がボストンバッグに一つ

 教科書や参考書、本なんかは少なくて、ダンボールはスカスカ



「意外に広い部屋だったんだねぇ」



 感心したように呟く部屋主

 勢いで片付けた部屋はがらんとしている

 元々の荷物の少なさもあるかもしれない



 最低限の食器が入った家具と

 最低限の着替えが詰まったタンスと

 携帯の充電器はベッドの枕もとに

 多少の食料が冷蔵庫の中に

 筆記用具は冷蔵庫の上



 強いて言うなら、ダンボールやボストンバックが邪魔だろうか



 片付いた部屋を見回していた夕闇の瞳が揺らぐ



「や、やだな。まだ当分はここにいるつもりなのにっ」



 誰が聞いているわけでもないのに言い訳をして

 滲んだ涙を服の袖で乱暴に拭う



 その袖が長いのは、秋風が肌寒いからだろうか

 明日には夏が舞い戻るかもしれないのに



 …このまま唐突に姿を消したら、誰か驚くだろうか

 否、恐らく気付く者など片手で足りる程度で

 日常は何も無かったかのように過ぎていくに違いない

 巫女の力を手放しても何も変わらなかったように



「……何だかなぁ」



 馬鹿馬鹿しく思えてしまって

 それでも荷物を解くのも馬鹿馬鹿しくて

 ベッドに身を投げ出して

 ゆっくりと目を閉じた



 窓から吹き込む風が

 雨の音と匂いが混じる風が

 頬を撫でて部屋を踊る

 閉じた瞳の中に広がるのは雨雲

 上下も失い、雨雲を泳ぐ気分に浸って



 やがて、天に落ちていくように

 眠りの底へ沈んでいった
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