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秋桜

2008.08.25 *Mon
 彼岸が過ぎ、鎌倉に戻ったボクの胸にはひとつの決意が眠っていた。

 ──卒業したら、巫女に戻ろう。

 田舎で何があったわけでもない。
 家族に、土蜘蛛様のことをきかれたわけでもない。
 田舎にいるときは巫女だったのが日常で、当然で。
 もしかしたら、その感覚で巫女に戻ろうと思っただけなのかもしれない。

 冷静に考えればそれだけの話。

 だけど、きっと。
 あの時に死なせてしまった蜘蛛童が戻ってきていて、自分は違う、ボクの土蜘蛛じゃない‥‥そう伝えてくれたんだと思う。
 お彼岸だもの、それくらいのことは、あったっていい。
 巫女に戻ったら、大学に行きながら土蜘蛛様を探そう。

 能力者を万が一にも引退した時、手元からバイクがなくなるのはどうしても我慢できなくて
 ──だからボクは、大学に行くことにした。

 能力者として生きるなら、やっぱり、どうしても土蜘蛛様の存在を諦めることはできなくて
 ──だからボクは、巫女として生きる。

 答えに至ってみればなんとも簡単なことだった。
 学園の範疇にいる限り、琥先輩に危険が及ぶことなどありえない。

 だって、琥先輩だもの。

 それなら、ボクも戦争の時だけ戻ってくれば良い。
 それなら、嫌な思いをさせることも最低限だけ。
 ああ、なんて素晴らしい思いつきだろう。

 ボクは土蜘蛛様を探して、探して、
 探して、それでも見つからなかったら、
 誰かを護る力として、誰かにこの力を継承するんだろう。

 そんな寂しいことを考えてしまうのは、秋を感じさせる冷涼な風が吹いたから、かな。

 ああ、でも。
 考えてしまうのは寂しいはずなのに、それなのに。
 ……考えるだけで、ちょっと楽しくなってきた。
 今日はゆっくりと、荷物を片付けよう。
 大型二輪の免許が取れたら、いつでも出発できるように。

 いや、違う。
 思い至ったら、明日にでも出発できるように。


 秋桜が咲く頃
 ボクはどこにいるんだろう
 どこにいても、きっとこの空の下で
 きっと単車に跨っているに違いないのだけれど
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